【映画 感想】さよなら、人類




シュール。この言葉に尽きる。これほどまでにシュールな映画には、初めて出会ったかもしれない。
作品全体で明確なプロットがある訳ではなく、1場面ごとに短い出来事を描いている感じ。短編集と言うと分かりやすいかもしれない。

家具や生活雑貨など、登場する小物類に無駄が無くシンプルで、且つ、構図も美しい。カメラが動かないのも印象的で、定点での撮影と、洗練された構図が相まって、まるで絵画を観ているような錯覚に陥ることがあったほど。
家具や生活雑貨のセンスは、さすが北欧、スウェーデンて感じ。IKEAに行くと、こういう商品ありそうだなあ、なんて思いながら観てしまった。これが邦画やアメリカ映画だったら、こういう画にはならないだろう。

で、再生直後は、何か重要なメッセージがシーンごとに隠されているのではないか、と思いながら、少し気を張って観ていたのだけど、途中から、これは頭を空っぽにして観るものだ、ということに気が付いて、肩の力を思い切り抜いた。早い段階で鑑賞の姿勢を切り替えたのは、どうやら正解だったようだ。意味を考え出したら「負け」な気がする。

とは言え、頭を空にして、だらんと手足を投げ出して観ていても、勝手にあれこれ考えさせられてしまうのも事実。
印象的なシーンは多くあるが、その中のひとつに、少し残酷で、恐ろしいと感じられたものがある。これに関しては、主役の一人でもあるヨナタンが直後に放つセリフも含めて、考えを巡らせてしまった。もしかしたら、恐ろしさの裏には、何か他の意味が隠されて…とか、考え出したらキリがないので、再び頭を空にして作品に向き直った。
というか、各シーンに、何かしら意味を持たせていそうな演出がにくい。それでも、作品を通して、深い意味を込めている訳では無いのでは、と思っている。前述した通り、構図が美しいので、画を楽しみ、特徴的な役者陣が醸し出す独特な雰囲気を味わえれば、この映画の世界観にどっぷり浸れるのではないだろうか。
私は浸れた方だと思うので、最後まで退屈せずに、あっという間に時間が過ぎていった。
Amazonのレビューにも書いてあったけれど、大手を振って人におすすめできるものではないが、観てしまうと癖になる。そんな作品だ。